種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー 特別編 Vol.3

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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー 特別編 Vol.3

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ご好評頂いております『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』もそろそろ大詰めに差しかかって来ました。
今回は特別編として、映画監督の周防正行氏との対談を掲載いたします。種ともこがエンディング曲「遠く、そして近く」の作詞と歌唱を手がけた『終の信託』(2012年)、同じく作詞、歌唱指導、京都弁指導を担当した『舞妓はレディ』(2014年)を中心に、リーダーシップ論や変化を続けることの大切さなど、熱く、深く語り合っています。
映画と音楽―フィールドは異なれど、お互いに対するリスペクトが感じられる、特別編の最終回に相応しい濃密な対談になりました。どうぞお楽しみ下さい。

構成:種ともこスタッフ

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Chapter 1. 出会いについて

-周防監督と種さんが知り合ったきっかけは何だったのでしょうか?
周防:『舞妓はレディ』(2014年)ですね。実は公開される20年前から構想はあったんですけど、『それでもボクはやってない』(2007年)が終わった頃にようやくミュージカル映画というイメージが固まったんです。そこで、僕の映画で音楽をやってくれている従兄弟の(周防)義和さんに話したら、「作詞は種さんに相談してみたらどうか」って言われて、すぐにCDを渡されました。

-義和さんと種さんとは交流があったんですか?
種: 25年くらい前、義和さんに『WOOD』という音楽番組に呼んでいただいて、それがきっかけでお互いの作品を聴かせ合うようになりました。その後も義和さんのアルバムで歌わせていただいたり、『雪月花』(2009年)でアレンジをお願いしたり、コンスタントに接点があったんです。

-周防監督が手がけられた作品に対してどのような印象をお持ちでしたか?
種:『シコふんじゃった。』(1991年)や『Shall we ダンス?』(1996年)は観たことがあって好きでした。ユーモアのセンスが素敵で、無条件でニコニコ出来る映画だと思いました。だから、義和さんからお話をいただいた時も、こんなに素晴らしい作品を作っていらっしゃる方と仕事が出来るなんて…と半信半疑で打ち合わせ場所に行ったのを覚えています。実際お目にかかって、誠実で相手を思いやる気持ちが強い方だと感じましたね。いっしょに仕事させていただくようになってからもその印象は変わりません。

Chapter 2. 『終の信託』(「遠く、そして近く」)―偶然が生んだ真のコラボレーション

周防:種さんを推薦された後も、僕の中ではまだ映画の具体的なイメージが固まらず、なかなか実作業に移れなかったんですよ。そのうち『終の信託』(2012年)を先に作ることになったんですけど、プロデューサーが「この次には必ずやる」って勝手に宣言しちゃって…。

-『舞妓はレディ』がきっかけで知り合ったものの、実際には『終の信託』の方が種さんが参加した最初の作品になったわけですね。では、『終の信託』から先にお話をうかがいしましょうか。劇中の音楽はバリエーションもかかるタイミングも少ないように感じますが、こういった構成は最初から意図していたのですか?
周防:僕の場合、音楽はないものとしてシナリオを書くんですよ。特に『終の信託』では取調室のシーン、『それでもボクはやってない』は法廷のシーンがあるじゃないですか。取調室も法廷も音楽は聴こえて来ない(笑)。どちらかと言うと、無機質な部屋で人の声や息づかいが中心になるから叙情性は極力排除したい…ただでさえ芝居が濡れて来ますから。

-種さんはエンディング曲「遠く、そして近く」の作詞と歌唱を担当されています。
周防:『それでもボクはやってない』のエンディングをtomo the tomoさんに歌ってもらったイメージが僕には強く残っていて、『終の信託』もエンディングは女性のソロがいいな、と思っていました。

-もともとはテーマ音楽のメロディーをスキャットで歌うという発注だったとお聞きしましたが…。
種:そうなんです。ただ、やってみたら「ルルル…」だけでは保たない気がして、抽象的な言葉を入れたらどうかと思ったんです。その時にはまだ大枠のストーリーしか聞いていなかったのですが、そこは意識しつつ適当に言葉をつけて聴いていただいたら「これで行きましょう!」って言われて…「エーッ!」って。
周防:劇伴は物語に添っていないと困るんですけど、エンディングの場合は、歌詞で物語を直接的、具体的にイメージさせるのがイヤなんですよ。独自の世界を持った音楽の方がお客さんが勝手にいろんな思いを流し込んでくれる。物語とシンクロしてなくても観た人が、それぞれにちゃんと受け止めてくれるんですよ。その方が僕にはしっくり来ますね。
種:私が勝手に作った歌詞がたまたま周防監督のイメージと合致した…本当の意味でのコラボレーションだったんだな、って気がしています。

Chapter 3. スタッフに預けなくてはならないことがたくさんある

-最近は音楽がたくさん使われている映画が多く感じます。
周防:僕にはうるさくてしょうがない(笑)。
種:周防監督の映画は音楽が少ないからかえって印象に残る。音楽もそうですけど、たくさん音を詰め込んで行くと、本当に言いたいことが伝わらなくなってしまう可能性はありますね。
周防:音楽って力があるから、なるべくその手を借りないで、まずは画の力で編集してみる。その上で、何かを加えることで伝えたいことがより強く見えて来ると判断すると、初めて音楽っていう話になる。
種:周防監督の仕事でなるほどと思ったのは、編集の方が撮影現場に来ないじゃないですか。レコーディングの最後にミックスという作業があるんですけど、私の場合もミックスのエンジニアは録音現場に来ない、っていうことにしてるんですね。「録音からやりたい」って言われても、「あなたはここにいちゃいけない」って言い返すんです。みんなで侃々諤々した経過を知らないから、ある意味無責任に上げ下げしたり、カット出来るのであって、少しでも知ってしまうと躊躇しかねない。自分がこだわってた部分がミックスでバッサリなくなってると、最初は「エッ?!」って思うけど、客観的に見たら別に要らなかったんだ…って、新鮮に感じたりするんですよ。だから、エンジニアには「周防監督もこういうふうにやってる」って説得してます(笑)。
周防:フィルムで育った編集マンはそうじゃないかなあ。フィルムには現像が必要だから、その場では見れないし、現像が上がって最初に画を見るのは編集マンなんですよ。最初の観客。と言っても、シナリオを読んでいるわけだから、その人に意図が伝わらなければ観客に伝わるはずがない。だから、最初は何も言わず、僕がつけたシーンナンバー、カットナンバーに添ってつないでもらうんです。そのつなぎ方を見ると、僕が撮った画は最初の観客、つまり編集マンにこう伝わったんだ、って分かる。その上で、「あのカットは実はこういうつもりで撮ったんだけど」って説明すると、編集マンが「ああ、それならこうしよう」となったり、「それは伝わらない」と却下されたり…そうやって編集を詰めて行くんです。だから、まずは僕が撮った画から編集マンが何を感じたかが見たい。そういう意味で、現場にはいない方がいいな、って。本当のところ、監督は1人では何も出来なくて、スタッフに預けなくてはならないことがたくさんあるんですよ。

Chapter 4. 周防流リーダーシップ

種:周防監督の現場にお邪魔して、リーダーシップを持ってものごとを進めるってこういうことなんだ、ってすごく勉強になったんですよ。そこにいる全員が、監督がやろうとしていることを実現するために頑張っている、っていう感じがすごく伝わって来て…そういう空気感を作るのって、やっぱり監督だと思うんですよね。撮影が深夜に及んだり、何回もやり直したりする時のモチベーションの保ち方とか…毎回毎回判断じゃないですか。
周防:映画って、そういうものだとみんな思ってる。僕の場合、最初は低予算で撮影日数が短かかったから、ほぼ自分の考えで決めちゃってました。人の話を聞いてると終わらないんですよ。時間がないのはみんな分かってるから、意見があろうがなかろうが、最終的には監督の言う通り(笑)。『Shall we ダンス?』で初めて時間的な余裕が出来て、まず役者に動いてもらって芝居の形を作ってみた。その方がみんな楽しいんじゃないかと思う。僕の今のスタイルは、出来るだけスタッフに預けるということ。どれぐらい預けられるか、っていうのがテーマで、僕にとっては、まさに共同作業こそが映画の醍醐味なんです。
種:なるほど。例えば、ずっといっしょにやられていたスタッフが交代した時ってどうですか?
周防:まず、やりたいように任せます。例えばカメラマンだったら、最初はどんなふうにアングルを決めるのか見てて、「それ、こうなりますかねえ」とか少しずつ口出ししたり、面白かったらその通りやってみる。そうこうしているうちに、最終的には向こうから僕の意図を汲み取った提案をしてくれるようになる。ただ、種さんのインタビューで「人の話を聞くことは…」っていうのがあったじゃないですか(30周年記念ロング・インタビュー特別編 vol.2、Chapter 4参照)…その伝でいけば、僕はぜんぜん人の話を聞かない(笑)。だって、自分が納得出来なきゃ絶対やらないもん。だからこそ、とにかくスタッフが意見を言いやすい現場作りを目指してるんです。とんでもない意見でも、それがヒントになることもあるので何でも言ってもらう。でも、最終的に「面白い!それで行こう!」って思わなかったら絶対にやらない。
種:(笑)そういう雰囲気はすごく感じた。だからこそ、自分の実力を100%出したい、ってチームのみんなが思えるんでしょうね。意見も出さないで、本当はこうじゃない方がよかったのに、とか思いながら作業に参加されることが制作のエネルギーやスピード感を奪っていく要素になるのはすごく分かるし。私の場合もダレないようにテイクのOK、NGを判断するようにしてます。ダメっていうチョイスをしても、次にもっといいテイクを引き出せるように気を配りながら、勢いを失わない現場を心がけてます。ただ、映画は長丁場じゃないですか。
周防:粘ることで伝説的に語られる監督もいますけど、現実問題、女優は夜遅く、ましてや徹夜になったらアウトですからね。それに実は1テイク目が1番いいことが多いんですよ。
種:音楽もそうですね。テスト・テイクがよかったり。
周防:加瀬亮さんがクリント・イーストウッド監督の現場で、セットに呼ばれて、テストだと思ってやってたら、それがOKになっちゃった…みたいな話も聞いた。ファースト・テイクを超えるものを、と思ってキープして何回かやってもらうこともあるんですよ。で、何テイク目がよかった、って現場では考えてても、ラッシュで見るとやっぱり最初のテイクがいいっていうことが経験上多い。だけど、僕は迷ったら絶対キープするし、どう撮ったらいいか分からなくなったら、「ごめん、迷ってるからちょっと待っててくれる?」って言ってその場で考える。何かのせいにして時間稼ぎする監督もいるようだけど、僕は駆け引きが苦手だから正直に言っちゃう(笑)。

Chapter 5. 『舞妓はレディ』―ユーモアとファンタジーにあふれた一大エンタテインメント

-『舞妓はレディ』に戻りましょうか。
種:音楽をやっている上で、いろいろなジャンルや方向性が分離してお互い相容れない状況を感じ始めて、特定の層に照準を合わせるのではなく、みんなが楽しめる本当のエンタテインメントがやりたいと思ってたタイミングだったから、お話をいただいた時はすごく嬉しかった。
周防:僕にとっては『シコふんじゃった。』と『Shall we ダンス?』はそういうつもりで作ったんです。それまでは『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984年)とか『ファンシイダンス』(1989年)とか、若者に人気の尖った監督だと見られていた。だから、逆に自分の母親にも分かる娯楽映画を作ろう、と思ったんです。『舞妓はレディ』も『Shall we ダンス?』以来、ひさびさにお客さんを選ばない映画を作りたかった。そうは言ったものの、シナリオがまったく書けない。一方、オーディションでヒロインも決まっちゃったし、種さんにも早く作詞のイメージを伝えなきゃいけない…どうにもこうにも行かなくなって来た。だから、シナリオなくて、あらすじだけでやり取りしてたじゃないですか。
種:私は映画の仕事の進め方をよく知らなくて、あらすじを脚本だと思い込んでたから(笑)、そういう切羽詰まった印象はぜんぜんなかったですね。
周防:撮影が数ヶ月後に迫って、種さんと具体的にやり取りする直前ぐらいに、ヒロインの上白石萌音さんと京都に取材に行った時にもまだシナリオが書けていなくて、「書けなかったらこの映画中止だから、ゴメンね」って言ってたぐらい(笑)、追いつめられてたんです。で、詞のイメージを種さんに伝え始めてやり取りが始まったら、いきなりシナリオが書けるようになったんですよ。
種:えー!そうなんですか?
周防:種さんにイメージを伝えなきゃいけないから、自分の中で一生懸命ポイントを絞り込んで行く…そういう作業の中で物語がつながって行ったんだと思う。こんなこともあるんだな、って。
種:「きついっしょ」とか、具体的な発注がないうちから思いついたことを勝手に曲にして持って行ったり、私の思いつきをよくもあんなに拾っていただいたな、と思いました。
周防:多分、共同脚本のような感じだったのかなあ…僕の場合、1人で書いてても、ある程度出来た段階で人に読んでもらって意見を聞くんですよ。何が伝わっていて、何が伝わっていないかを確認するために。『舞妓はレディ』では、脚本を書き始める前の段階で物語の断片的なイメージを種さんに投げたら歌詞になって返って来た。それが僕のシナリオに対する意見だったんです。「ティアーモの鐘」のシーンなんかは、僕の中ではカットしようと思ってたんだけど、いざ歌詞が届いたら、この歌を聴きたい、この歌を聴けるシーンを作らなきゃいけない…って、種さんとのやり取りに引っ張られて出来たんですよ。
種:「ティアーモの鐘」や「一見さんお断り」もそうですけど、私にとってトリガーになったのは周防監督のユーモア感覚だったんです。
周防:作詞だけをこんなにやったことはあるんですか?
種:一時にこんなにたくさんというのは初めてだったと思います。でも、根本のストーリーがあるから、全体で1曲という感覚で作れましたね。私自身、本当に楽しかったし、周防監督が楽しんでくださっているのが印象的でした。
周防:本当に楽しかったもん(笑)。

Chapter 6. いきなり歌って嘘くさいのがいい

-ミュージカルには興味があったんですか?
種:大好きというわけではなかったけど、ウディ・アレンの『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996年)を参考にいただいて…。
周防:僕はこれを観て「やられた!」と思ったの(笑)。役者の歌ですごくトボケたものをやりたいという思いはずっとあったのに、先にやられてしまった。実は最初の企画では『舞妓はレディ』はミュージカルじゃなかったんですよ。
種:そうだったんですか?!
周防:『ファンシイダンス』や『シコふんじゃった。』路線の女の子青春修行もの。だから、お茶屋のリアルな世界を描こうと思ってたんだけど、取材しても何がリアルなのかぜんぜん分からなくて。だけど、ファンタジーなら行けそうだと思った時に自然とミュージカルに結びついた。

-浮世離れしているということでしょうか?
周防:そうです。京都という場所自体が浮世離れしてる…特にお座敷の世界は。その特別な世界をどう楽しむか考えているうちに1つのファンタジーとして描くのがいいんじゃないかと思ったんです。それでミュージカルに結びついて、さらに、役者が歌う楽しさにあふれた映画、っていう僕が以前からやりたかったことにもリンクしたんですよね。

-ミュージカルって、いきなり歌って嘘くさいとか、日本では揶揄されることもありますけど…。
周防:いきなり歌って嘘くさいのがいいんじゃないですか(笑)。

-ファンタジーですもんね。ストーリーも明解で、いい音楽がたくさんあって。出演者のみなさんもしっかり受け止めて表現している印象です。
種:ヒロインの上白石さんはすごくよかった。あと、個人的には長谷川博己さんがあそこまで…。
周防:ね!役者ってすごいよね。
種:とにかく熱心なんですよ。勘がいいから、どう練習したら上手く歌えるのか、ちゃんと分かってるし。長谷川さんの頑張りで「京都盆地に雨が降る」のシーンはすごく素敵になりましたよね。
周防:みんな楽しかったんじゃないかな。
種:高嶋政宏さんと撮影の途中で「教授って、春子のことが好きなのかな?」とか話してて、みんなすごく楽しんでるな、って思いました(笑)。
周防:京舞の井上八千代先生…劇中に出てくる踊りのお師匠さんのモデルなんですけど、彼女が舞妓さんたちを前に「この映画を観なさい」って言ってくれたらしいんですよ。
種:マジで!
周防:祇園の舞妓さんや芸妓さんが踊る京舞の大先生ですよ!実際に祇園を深く知る人にもこの映画が認められたのは、ファンタジーの中にちゃんとリアリズムが生きてるんだと思って、すごく嬉しかった。そう言えば、京都弁の苦労もありましたね(笑)。

-種さんが育った長岡京市も「そこは京都やおまへん」って言われちゃいそうですね。
種:そうそう(笑)。だから生粋の京都人にも逐一メールでチェックしていただいたんです。義和さんはイヤだったと思いますけど(笑)。
周防:京都弁のイントネーションで音楽性まで変わってしまう。
種:「えーっ!メロディー、変えたくないなあ…」とか言われながら。そこはせめぎ合いがありましたけど、義和さんも私も頑張りました。
周防:日本映画におけるミュージカルって、まだまだ認められていないジャンルだと思うんで、またやってみたいんですけどね。
種:そうなんですか!
周防:面白いですよ、やっぱり。さっき言ったように、音楽によってシーンが生まれる経験もしちゃったので。僕はどっちかと言うと出来事から発想するんですけど、音楽って感覚的な要素もあるから、そっちから揺さぶられてアイディアが出て来るのは普段とはまったく違う感覚なので、そういう楽しみはありましたね。

Chapter 7. やっぱりベテランになっちゃいけない

-『終の信託』と『舞妓はレディ』、どちらも種さんが関わっていますが、続けて依頼することに抵抗はありませんでしたか?
周防:ないですよ。作る世界観次第ですね。よく受けて困る質問に、「今いっしょに仕事したい俳優はいますか?」っていうのがあるんですけど、僕としては次の作品の具体的なイメージと世界観があった上でそこにいて欲しい人にお願いする、っていう発想なんですよ。だから、映画やテレビ、舞台を観て「この人で映画を作りたいな」とはぜんぜん思わないんです。
種:次はどんな企画を考えていらっしゃいますか(笑)?
周防:今までとはまったく傾向が違ったものを。

-失礼かも知れませんが、少し天の邪鬼なところもある?
周防:天の邪鬼です。表面的なレベルで時代が求めていそうなことはやらない(笑)。僕が映画の世界に入った頃って、社会性のある芸術的な作品はいっぱいあったけど、みんなが楽しめる娯楽映画があまり作られてなくて、作ったとしても評価が得られなかった。だからこそ、あえて「誰が観ても面白いと言える映画を!」って『シコふんじゃった。』や『Shall we ダンス?』を作ったんです。でも、『シコふんじゃった。』で映画賞を獲った時、嬉しい反面、こういう映画が1位になるって、実は不幸な時代なんじゃないか、って思っちゃった(笑)。『Shall we ダンス?』の後に『それでもボクはやってない』に行けたのは、今度はみんなが求めているであろう、誰もが楽しめる娯楽映画とは真逆の…もちろん、裁判について伝えたいことがあったからなんだけど、同じような作品を続けて作りたい、って思ってたわけじゃなかったというのはありますね。

-期待を裏切り続けるのは難しくないですか?
周防:そんなことはないですよ。他人の期待に応えたくて映画を作っているわけじゃないし、自分のやりたいようにやって失敗しても死ぬわけじゃない(笑)。本当にやりたいと思うことをやってみたら、つまらなかったっていうのは、さすがに落ち込むだろうけど。

-戻りますけど、次作の具体的なアイディアはあるんですか?
周防:あります。今、脚本を書いてる最中ですけど、『舞妓はレディ』の例もあったので、構想の段階から人に入ってもらって、いろいろとアイディアを聞くスタイルで進めてるんですよ。何年も映画を作って来たので、この規模でこの内容ならこんな感じかな…みたいに自分の中で限界が見えちゃうじゃないですか。そうなったら、やっぱり人の力を借りて揺さぶってもらわないと。キャリアを積めば積むほど難しい。だから、種さんのインタビューを読んでると、冒険してるって言うか、突き進んでてすごいな、と思う(笑)。
種:そんなそんな。でも、年齢にともなうリスクを考えると、何かを劇的に変えることですべてがお手上げ状態になったらどうしよう…とか、前よりも考えちゃいますね。気がついたら決して若手とは言えない年齢だし。
周防:でも、気分は若手でしょ(笑)?
種:やっぱりベテランになっちゃいけないと思ってて。「ちょっと若いんじゃないの?そのやり方」みたいなことは今後も続けたい。あと刷新して行くことを出来るだけ恐がらず、新しいことをやりたいですね。つねに崖っぷちに立つことに楽しさを見出して行きたいと思ってます。
周防:本当にそう思うんですよ。だから壊さないと。
種:私も今、次の制作に入ってるんですけど、これまでの「恋愛三部作」とは違って、少人数で閉じられた世界を追求してみたいと思ってます。実は若い頃からずっとやりたかったことなんだけど、今このタイミングだからこそやっておきたいな、って。
周防:お互い、年老いていくのは初めての経験だからね。
種:そうなんですよ!老人学校のピカピカの1年生なんです、きっと(笑)!

-それでは、そろそろお開きにしたいと思います。周防監督、お忙しいところ、ありがとうございました。

渋谷・アルタミラピクチャーズにて

周防正行(すお まさゆき) 映画監督

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撮影・下村一喜

1956年東京都出身。立教大学文学部フランス文学科卒業。
在学中から助監督などを務めた後、1984年、小津安二郎監督にオマージュを捧げたピンク映画『変態家族 兄貴の嫁さん』で監督デビュー。
一般映画の監督デビューは、’89年『ファンシイダンス』。’92年、大学の相撲部を描いた『シコふんじゃった。』で国内映画賞を多数受賞し、『Shall we ダンス?』(’96年)では大ヒットを記録しハリウッドリメイク版(’04年)も製作された。その後も『それでもボクはやってない』(2007年)、『ダンシング・チャップリン』(’11年)、『終の信託』(’12年)、『舞妓はレディ』(’14年)を発表。
多岐にわたる著書もあり、最新作は自身の法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の委員としての葛藤の日々をつづったノンフィクション『それでもボクは会議で闘う ドキュメント刑事司法改革』(’15年、岩波書店)。

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30th Anniversary

デビュー30周年にあたって、種ともこからのメッセージ

種ともこ、この年末をもちましてデビュー30周年となります。
これってホントにワタシの音楽を聴いてくださる皆さまのおかげです。
まずはお礼を言わせてください。
ありがとうございます!
それから、ワタシが音楽を届ける作業に力を貸してくれた全てのミュージシャン、スタッフにもお礼を言わせてください。
ホントにお世話になりました&なってます。

死ぬまで音楽創っていたい。いい音楽を創っていたい。これが今の私の願いです。

あっという間の30年間でした。ってことは楽しい30年間でした。楽しい時間は早く過ぎますもの。

この30年を記念して、あれこれ楽しい企画を考えております。
皆さまのお財布を休ませません!
楽しみにしていてね。覚悟していてね。

2015.12.19
種ともこ

種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー 番外編

vol.9でエンディングを迎えた本編に続きまして、2016年11月から2017年1月にかけて本サイトを通じてファンのみなさんからお寄せいただいたご質問に種ともこがお答えするアンコール企画。
たくさんのご質問、感謝しております。その中から種ともこがすべて目を通した上で厳選し、真剣に返答させていただきました(ご紹介できなかったみなさん、ごめんなさい)。
どうぞごゆっくりお楽しみ下さい。


ロング・インタビューはこちらから


種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.9

「恋愛三部作」―制作を中断しながら東日本大震災をきっかけに完成に至った第1弾『Uh Baby Baby』(2011年)、突き抜けた開放感の中に緊張感をあわせ持つ第2弾『True Love Songs』(2013年)、完結編にして種ともこポップスの金字塔『Love Song Remains The Same』(2015年)―を中心に、全編ピアノと歌のみによる「恋愛三部作」のスピンオフ『家のピアノ』(2014年)など、自身が「波乱二万丈」と語った2010年から2015年を大いに語っています。さらには、種ともこがこれまでに参加して来たコンピレーション作品にも触れてみました。
ついにエンディングを迎えるロング・インタビュー、「最高で感動の」最終回となりますでしょうか。最後までごゆっくりお楽しみ下さい。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー 特別編 vol.3

特別編の最終回として、映画監督の周防正行氏との対談を掲載いたします。種ともこがエンディング曲「遠く、そして近く」の作詞と歌唱を手がけた『終の信託』(2012年)、同じく作詞、歌唱指導、京都弁指導を担当した『舞妓はレディ』(2014年)を中心に、リーダーシップ論や変化を続けることの大切さなど、熱く、深く語り合っています。
映画と音楽―フィールドは異なれど、お互いに対するリスペクトが感じられる、特別編の最終回に相応しい濃密な対談になりました。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.8

少数精鋭でシンプルな世界を追求した『カナリヤ』、フレッシュでバラエティ豊かな『おひさま』という意欲作をリリースするもレーベルが倒産。完全自主制作に移行して、ソニー以降の名作選『カナリヤとおひさまとそれから』と実験精神あふれる童謡カヴァー・アルバム『雪月花』をリリースした2005年から2009年を中心に、デビュー20周年記念セルフ・カヴァー・アルバム『ウタイツガレルウタ』や新たな層にアピールしたアニメ『ガサラキ』『トリニティ・ブラッド』のテーマ曲、映像と音楽のコラボレーションによるライヴ・シリーズ『VISION & PIANO』についても語っております。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.7

『Locked in Heaven』(1997年)を最後に、ソニー・ミュージックとの契約が終了し、自主的に活動して行くことを決意した種ともこ。
第二子の妊娠中に企画が浮上、初めて他人が書き下ろした楽曲を歌った新境地『hetero』(1999年)、アーティスト廃業の危機から一転、種ともこ流ポップスの王道を追求した初インディーズ作『in』『out』(2003年)、紆余曲折の末に制作の主導権を勝ち取ったソニー時代の集大成『GOLDEN☆BEST 11YEAR’S WORKS』(2003年)について語っております。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー 特別編 vol.2

特別編として、1991年のアルバム『KISS OF LIFE』から『Locked In Heaven』、さらにデビュー20周年にとして2006年にリリースされた『ウタイツガレルウタ』にディレクター、プロデューサーとして関わられた河合誠一マイケルさんとの対談を掲載致します。
アーティストとスタッフという関係を超えた自然な繋がりが感じられる、絶妙な二人のやり取りをどうぞお楽しみ下さい。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.6

『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』第6回をアップ致します。
1995年にデビュー10年目を迎えた種ともこ。同年に新曲をライヴ・レコーディングした『感傷』、さらに1997年にはポップかつアグレッシヴな新局面を示した『Locked in Heaven』をリリースするなど、相変わらず精力的な活動を展開する一方で、同作を最後にデビュー以来所属して来たソニー・ミュージックを離れることになります。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.5

『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』第5回をアップ致します。
アルバム『音楽』(1990年)でさらなる到達点に達すると同時に、新たな制作環境の模索やスタッフの交代など、節目を迎えた種ともこ。
1991年、完全セルフ・プロデュースで制作された『KISS OF LIFE』、1993年、最新機材の導入により実現したホーム&スタジオ・レコーディングの充実作『Mighty Love』、そしてポップで粒ぞろいな楽曲が詰まった1994年の『HARVEST』が今回のテーマとなります。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.4

『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』第四回をアップ致します。
1985年12月にCBSソニー(当時)からデビューし、武部聡志さんプロデュースのもと、3枚のアルバムを制作。
そしてコンピレーション・アルバム『ベクトルのかなたで待ってて』を挟んで、ついに激動のセルフ・プロデュース期へと突入します。今回はその初期3作品『O・HA・YO』『うれしいひとこと』『音楽』に焦点を当てて、ざっくばらんに語っております。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー 特別編

ご好評頂いております『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』、幼少期に始まり、CBSソニーからのデビューを経て、アルバム『Che Che-Bye Bye』の完成までたどり着きました。
今回は特別編として、デビュー・シングル「You’re The One」から3作目となる『Che Che…』までのプロデュース/アレンジを担当された武部聡志さんにお忙しい中お時間をいただき行いました対談を掲載致します。


対談はこちらから


種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.3

『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』第三回をアップ致します。
1985年12月21日、シングル「You’re The One」でCBSソニー(当時)からめでたくデビュー!
アーティストとアレンジャーという立場を超えた実り多い師弟関係を築くことになった武部聡志さんとのコラボレーションが冴えわたる初期の三作『いっしょに、ねっ。』『みんな愛のせいね。』『Che Che-Bye Bye』(+『ベクトルのかなたで待ってて』)に焦点を当てて、今回もざっくばらんに語っております。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.2

先月からスタートしました『種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー』第二回をアップ致します。
今回は同志社大学入学後からデビュー直前まで、”アーティスト”種ともこにとって重要と思われる時代についてざっくばらんに語っております。
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種ともこ デビュー30周年記念ロング・インタビュー vol.1

種ともこ、祝・デビュー30周年!…ということで、アニバーサリー・イヤーの2016年12月まで、約1年にわたって、スペシャル・インタビューを掲載致します。
アーティスト活動はもちろん、生い立ちから音楽との出会い、学生生活、デビューへの道のり…などなど、当時の写真も交えて、ざっくばらんに種ともこのこれまでを振り返ってお送りする予定です。
vol.1では、種家のルーツに始まり、大学受験までを語っております。
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ロング・インタビューはこちらから


種ともこ 30thイヤー!スターティング・イベント ~ 30年いっしょに、ねっ!

種ともこデビュー30周年を記念した、秘蔵写真などの展示、映像上映、トークショーなどの、30周年イヤー!スターティングイベント「種ともこCafe」及び「種ともこ記念トークショー&チャリティーオークション」を、3/31(木)から4/2(土)の期間内で、駒沢大学駅徒歩1分にあるイベントスペース<エムズ・カンティーナ>にて開催いたします。是非!この機会にあなたが知らなかった種ともこに逢いに来てください。皆様のお越しをお待ちしております。
flyer

イベントの詳細はこちら


『Love Song Remains The Same』ハイレゾ音楽配信開始

昨年10/21に発売されました種ともこの最新作『Love Song Remains The Same』のハイレゾ音楽配信(96kHz/24bit)が始まりました。種ともこが打ち立てた”金字塔”を高音質でお楽しみになりたい方は各ハイレゾ配信サイトへGO!

主なハイレゾ配信サイト
mora
e-onkyo music
VICTOR STUDIO HD-Music
OTOTOY
groovers


『Love Song Remains The Same』ハイレゾ音楽配信記念 座談会

2015年10月発売の種ともこの最新アルバム『Love Song Remains The Same』のハイレゾ音楽配信(96kHz/24bit)が1月27日から始まりました。
デビュー30周年イヤー企画の第一弾、さらにキャリア初となるハイレゾ配信を記念して、種ともこ本人と同作品をともに作り上げた共同プロデューサーの菅原弘明、ミキシング・エンジニアの松本大英両氏がCDとハイレゾ音源とを聴き比べながら行った座談会の模様をここに掲載致します。
座談会の記事はこちら


《種ともこ デビュー30周年企画第1弾》
『Love Song Remains The Same』高音質音楽配信(ハイレゾ音楽配信)決定!!

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2015年10月21日に発売されたばかりの”恋愛三部作”完結編『Love Song Remains The Same』。種ともこ本人が「金字塔」と断言する絶対的自信作の(ハイレゾ音楽配信)(24bit/96kHz。通常CDは16bit/44.1kHz)が決定しました!

配信開始日は2016年1月27日の予定。配信サイト等の詳細は追ってお知らせ致します。どうぞご期待下さい。


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